
なんだかNHKの番組タイトルみたいないつになく仰々しい記事タイトルになってますが、今回はちょっとここまで書いてきた生理記事の総括も兼ねまして「男性はどこまで生理を理解できるものなのだろうか?」について書いてみます。
女性の多くはもっと男性にも生理の苦しみを知ってほしい! と思っていると思うのですが、男性の多くが現状では生理に興味無し状態であることは間違いなさそうです。
男性の前に立つ大きな壁「体験できない」
どれだけ生理への知識を深めたとしても、当ブログで一貫してお伝えしてきた
男性は生理を絶対に体験できない
ことが最大の障壁となることはつくづく感じます。
体験できないということは、一見勉強しまくればカバーできるように思いがちですが、想像以上に大きな壁なのです。
どれだけ「生理痛と似たような痛み」を知っても、またどれだけ「生理前と似たような身体的・精神的不調」を知っても、体験したことが無いので嘘の共感しか出来ないままなのです。
例えばこのブログを書き続けてきた僕も、妻が生理の時にはある程度の知識で気を遣ったりすることはできますが、ふとした瞬間には生理のつらさを具体的に理解できていない為にやはりちぐはぐな言動や行動をしてしまうことがあります。
頭では理解しているつもりでも、経験値は一生ゼロのままですから、男性が生理に関して出来ることというのは、精一杯の理解と、精一杯の気遣い以上は無いものと思います。
生理に興味が持てない
更にこのブログ運営を通じて感じたことの一つが、男性が生理に興味を持つことの難しさです。
何度も書いてきたように、知ることには大いに意味があり、パートナーとの関係は良くなることも間違いないと今でも思います。
しかし、ある一定の知識以上深く知ろうとはしない男性がほとんどかと思います。
それは非常にもっともな事だと感じています。
自分を棚に上げて書くのもなんですから、正直に言いますが、僕もこのブログをやっていなければ生理を深く知ろうなどとはしなかったでしょう。
女性が男性の性器の作りや仕組みを詳しく知っているケースは恐らくは少なく、また基本的には興味を持てないのではないかと思います。
もし興味を持つとしたら、それは性的な興奮を伴う場合や、パートナーの体調不良などの原因となっている可能性がある場合などに調べるぐらいでしょう。
そして、生理を最低限知っておくことはマジで全男性がすべきことだと思いますが、深く知る必要はないと思います。
知的好奇心が尽きない方や生きる上で知っておかなければいけないという境遇の方以外の男性には、深い生理への知識が役立つ場面はほとんどないと思います。
最低限、というラインはどこまでか?
というのは、人によって変わってくるとは思うのですが、生理の仕組みからそれが妊娠に必要な現象であること、生理前や生理中に起こる様々な変化、そしてそれらをヒントに知ることができる病気などでしょう。
ざっと知っておくべき記事を並べてみます。
男性目線の興味ならある
一方で、男性目線の生理への興味は多くの男性が持っている、ということも感じています。
具体的には、生理前でイライラしてる女性への対処法や、生理中のセックスなどです。
それを挙げることで卑下する意図はなく、当然だと思います。
むしろ、生理中のセックスやイライラへの対処などをご自身で調べているだけでパートナーを想っていることもわかりますし、それがきっかけで少しだけでも生理を知れれば素敵なことだと思います。
信じられないかも知れませんが、生理が女性に毎月来ていることすら知らない男性というのがあなたが思っている以上にたくさんいるのです。
スケベ心からでもなんでも、生理を多くの男性が正しく理解すること。
それがまずすべきことであり、スケベ目線で生理を考えるなんて気持ち悪い、と女性も思わずにまずは知識が広がる事を目的とし手段は問わない、ぐらいの荒療治が必要なんだろうなぁ、と思います。
生理をここまで隠してしまったのは誰か?
この項目は僕の勝手な推測も混ざりますのでご了承ください。
――一体なぜ生理はここまで隠されるようになってしまったのでしょうか?
多様性が尊重され、社会が大きく変わってきている現代ですら、実際に行動できている人というのはわずかでしょう。
生理への理解も、大きく変わってきたとは到底言えないと思います。
アンネナプキンを発売し、日本の生理用品事情を一変させたアンネ社は、ナプキン発売にあたって徹底的に「生理」を連想させる言葉を省いて広告を打ちました。
それが大成功してナプキン革命は起きたのですが、つまりそれはほとんどの女性が生理を隠したいもの、恥ずかしいものと捉えていた事も裏付けています。
もっと古い時代、誰かが生理を恥ずかしいものとした。だから今でも根深く存在する生理へのうしろめたさが残っている。
誰が?
――邪馬台国の卑弥呼。
一度は耳にしたことがあるかと思いますが、「魏志倭人伝」ら史書にも名前のある倭国の女性の王ですね。
200年代の女王なので、今から1800年ほど昔、ということになります。
卑弥呼は鬼道を用いて衆を操っていたと伝わっており、この鬼道は実は生理前の女性特有のイライラや性格がちょっと変わったように感じるソレを指していたのでは? という説もあります。
また、『日本書記』や『古事記』にも登場する、日本における皇祖神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)も、女神です。
日本神話と言われる 『日本書記』や『古事記』 が書かれたのは共に700年代。
女性をトップに据えているということは、男性社会ではなくむしろ女性が中心とされていた可能性もあり、妊娠・出産をし子供を産むことのできる女性が権力を持っていたことは容易に想像できます。
しかし卑弥呼のいた200年代と、日本神話が書かれた700年代の間には大きな変化が起きています。
それは、仏教伝来です。
500年代に百済から伝えられたとされていますが、それ以前もちょこちょこ仏教徒が日本に来ていたりはしたようで、もっと以前から仏教のようなものが伝わっていた可能性はあります。
日本神話のワンシーンで、男神であるイザナギがイザナミとベッドインするシーンがあるのですが、最初は女神であるイザナミが声をかけてイザナギを誘うのですが、ちゃんとした子供が産まれませんでした。その為に他の神々に相談したところ、「男から先に声をかけないとだめだよ」と教えられ、その通りにし、ちゃんとした子供(国)が産まれたのです。
なんとなく男性優位な逸話ですよね。わざわざ男から声かけなきゃダメ、と教えられ、その通りにしてうまくいく、という描写がされてる時点で確信犯ですし。
もうすでに仏教は伝わっている時代での編纂であり、皇祖神はアマテラスであっても男性を立てる思想は始まっていたのでしょう。
とにかく、この仏教伝来は後に日本の男女間の関係性を大きく変えてしまう一因になってしまいます。
お釈迦様が最初に伝えた仏教に差別的な要素は無かったのですが、宗教というのは色々と混ざったりしまくるので、インドで信日本仰されていてちょっと女性蔑視の性質のあったヒンドゥー教の影響を受けてしまったものがあり、それも日本に伝わってきました。
(特に血の穢れを中心に置く『血盆経』などはなかなかすごいです)
女性中心の社会に嫌気がさしていた男性達が、仏教の教えに飛びつき、立場を逆転させることを画策し、後に中国の律令制を真似て男性優位の社会に作り替えました。
画策する中で、生理(月経)をケガレとする思想は非常に便利ですし、それを広めて無敵のムンムン男社会を作るんじゃ! と考えた悪いヤツの一人や二人ぐらいいたでしょうし。
つまり、生理を恥ずかしいもの、隠すべきものとしてしまったのは男性だと思います。
複雑な変遷を経てきたとは言え、シンプルに想像すれば、
女性が強くて権力持ってる⇒なんとか男ツエーしたいなぁ。お、仏教にヤバイのあるじゃん⇒こんなちゃんとした教えがあってですね、やっぱり男性の方が偉いような気がしてきましてですね、ちょっと構造変えてみましょうか⇒男社会完成
みたいな流れなんじゃないでしょうか。
頑張れすごいぞ生理ちゃん
さて話が無駄に大きくなっちゃったので、ちょっとここで生理ちゃん。
このブログでは触れてませんでしたが、小山健さんの生理ちゃん、面白いです。
知らない方の為に説明しときますと、漫画です。ゆるーい漫画です。
月に一度、生理ちゃんという名前のキモカワイイキャラが女性の家にやってきて、お腹パンチしたり生理を理解しない男性をぶん殴ったり、とにかく生理をコミカルに描いた漫画です。
実は僕はこの生理ちゃん、このブログを始める前に読んでまして、小山さんの他の作品もいくつか読んでます。
全て妻が買っていて、「おまえも読め」と指示されて読んだのですが、とても面白いです。
何より男性の生理を知るきっかけ作りとしては最適ですし、漫画であることでとっつきやすいのが最大の魅力でしょう。
反面、やはり女性の中で「あるある」と感じても男性にはピンと来ない描写は多く、まぁ仕方ないのですが男性向けの漫画ではありません。
ただし繰り返しますが、「こういうことが起きるんだなぁ」と理解する上では最適なものだと断言できます。
間違いなく今最も影響力のある生理漫画ですから(そういうジャンルがあるのか知りませんが)、もっとエグく男女差別などのデリケートな部分に切り込んでいってもらえれば何かが起こせるのかも知れません。
頑張れ生理ちゃん!すごいぞ生理ちゃん!
まとめ
冒頭で書いたように、体験できない以上男性が真に生理を理解することはできないと思います。
男性が生理を語っても、どうしても説得力もありません。
である以上、生理をほとんどの男性が知っておく、理解しておくことというのはめちゃくちゃ難しいことだとも思います。
更に今回書いた、興味をそもそも持てない現状や、長い年月をかけて作られてきた男性社会の基盤が邪魔をすると思いますし。
生理ちゃんも、またもしかしたらこのブログも、生理を男性皆が知る計画の第一歩(あるいはまだ第一歩にすらなっていないかも知れませんが)に過ぎないでしょうし、ゴールする日が訪れるのかどうかも全くわかりません。
その前に人類ほろんじゃうかも知れませんから。
それでも、何かを始めるのが人間の凄いところ。
むしろ生理は男が知っとけ
というブログタイトルですが、いつかこの言葉が男性同士の間で言われるようになる日が来たりするのかなぁ、なんて夢想したり。
以上、お読み頂きありがとうございました。