
そもそも生理(月経)は妊娠する為に女性だけに与えられた現象です。
若いカップルが「やべぇ生理来ねぇ!」と焦ったり、生理が来ない事でパニックになったり、病気の可能性もあったり――と、ネガティブな現象としての側面もある一方で、本来の姿はやはり妊娠する為の現象。
今回は、生理とは切っても切れない妊娠について、ぜひ男性も勉強しておきましょう。
逆にそれを知ることで妊娠しにくいタイミングというものも見えてきますから。
そうだよね、そもそも生理は子供を産むための現象なんだもんね
ただセックスするだけじゃ妊娠しないってことなのかな?
目次
今さら聞けない妊娠の仕組み
そもそも妊娠とはどのような現象なのでしょうか?
もちろんほとんどの方が妊娠という言葉は知っていると思いますが、具体的に何が起きるのかは知らないという方もいるのではないでしょうか?
そこでまずは基本的な妊娠の仕組みを知っておきましょう。
まずは女性の子宮内での準備が整っているかどうか

原点回帰、当ブログでの生理の仕組みを振り返ってみましょう。
まず最初に女性の子宮内で、子供を作る為の卵を作り出します。
それが生理サイクルでいうところの卵胞期にあたります。
卵胞の中でも偶然育ったものだけが一つだけ、卵子として飛び出します。
女性の身体は手当たり次第にポコポコと卵を作っているわけではないのです。
また、女性はこの世に生まれた瞬間にはもう身体の中に一生分の卵の元(原子卵胞)を持っています。
新たに作られることは一切なく、一生をかけて減り続けるのみなのが人間の卵なのです。
意外と知りませんよね? これを知っていると、女性の方は自身の生理が、男性の方は妊娠するという奇跡そのものがより感動的に思えるかも知れません。
因みに、この時卵巣で卵胞を作る際にエストロゲンが大きく作用しています。卵胞ホルモン、と呼ばれる所以がここにあるわけです。
卵巣で卵胞から飛び出した卵子は、上の画像にもある卵管采にからめとられて卵管へと移動します。
ここで、精子との出会いを待つことになります。
このように精子との出会いを待つべく卵管(卵管膨大部)へと卵子が移動するのが、排卵です。
生理サイクルで言うところの排卵期にあたります。
排卵が起こっていない状況では、いくら精子がスタンバイしても卵管へ卵子ちゃんは来てくれません。
じゃあ排卵期を避ければコンドームしなくっていいんじゃん!
と、血気盛んな若者は思うかも知れませんが、何度も何度も当ブログでも書いてますが、生理には個人差があり、超安定して正確な生理周期をすべての女性が持っているわけではありません。
周期を読み間違えば、排卵期でないと思っていたのに排卵がされていて妊娠した、みたいなことになっちゃうわけです。
しかし生理周期が正しく把握できていれば、排卵されていない時期は妊娠しにくいのは間違いないでしょう。
放出された精子達の戦い

では次に男性側の精子に視点を移しましょう。
精子は膣内に放出された時、大体1億個ほどあると言われています。
その1億の精子達が、一斉に卵子ちゃんと出会うべく子宮内を上っていくのです。
この時、女性側で準備ができている適切なタイミングである場合、精子君たちに救いの手を差し伸べます。
それが頚管粘液と呼ばれるもので、精子が子宮内を通りやすくなる粘液を出してくれるのです。
おお聖母マリアよ慈悲深い!
ではここで問題です。
卵子ちゃんの待つ卵管(卵管膨大部)へと到達できる精子クンは一体何個ほどでしょうか?
正解は、多くても100ぐらいだそうです。
実に99,999,900個の精子クンたちは途中で力尽きて脱落していくのです。
因みにですが、精子が膣内に放出されてから卵子ちゃんのいる卵管へ到達するまでの時間は、早ければ5分ぐらいで到達するのだそうです。
なんだかそんな頑張る精子を今までティッシュにくるんで捨てまくっていたと思うとちょっと申訳ないような気になります。
ちょっと待て、分かれ道があるぞ?
もう一度子宮の画像を貼ります。

僕はオソロシイことに気付いたのです。
仮に僕が子宮内を駆け上がる精子だったとして。
どう見ても途中で道が二つに分かれますよね?
そう、僕らは赤ちゃんになる前から、二択を迫られていたのです。
なんと罪深い女体かな!
どうりで僕なんかは確率が半々のギャンブルが嫌いなわけだ。
産まれる前からそれをやらされてたんですからね、恐ろしい。
話を戻します。
事実、精子クン達は左右に分かれている卵管のどちらかに進むことになります。
そして、卵子が待っているのはどちらか一方の道のみ。
先に書いたように、卵子は一つしか排卵されません。
どちら側で排卵されるかのメカニズムは現代でもまだ完全には解明されておらず、過去には交互に排卵説などあったようですが、今はランダムにどちらか、という説が有力のようです。
精子クン達への試練――というよりは、二つあることで片方に何か起きても対応できる、生物ならではの特徴な気がします。
男のタマタマも二つありますからね。
なんか妊娠がむしろ難しいものに思えてきたよ
したくないのにしちゃう、っていう話が目立ってるだけで妊娠することは最初っから簡単なことじゃないでしょ
そして出会う精子と卵子

子宮内を駆け上がり、二択にも正解し、ライバル達をおしのけてようやく卵子ちゃんと出会う精子くん。
ここで覚えておきたい大事なポイントは、精子くんと卵子ちゃんにはそれぞれ寿命があります。
さらにドラマチックです。
精子くんは、放出されてから約3日程度の寿命。
卵子ちゃんは、排卵されてから約1日程度の寿命。
それぞれが生きているうちに出会わなければ、妊娠できないのです。
さて、段々と皆さんの妊娠へのイメージが変わってきたのでは?
妊娠は軽く想像する以上に、難しいことなのです。
――さて、劇的な精子と卵子の出会いが起きている一方で、ひたすら仕事をする苦労人がいらっしゃいます。
それが、プロゲステロンです。
精子と卵子の出会いを見届ける余裕などなく、ひたすらに精子と卵子が子育てをする為の部屋を仕上げに仕上げまくっているのがプロゲステロンさんなのです。
そして妊娠が出来なかった場合は、生理として血と一緒に作り上げた部屋を毎回破棄するのですね。
これもちょっとだけ泣けるお話。
そして子宮内膜へ
出会った精子くんと卵子ちゃんは晴れて「受精卵」となり、ゆっくりと卵管から子宮へと移動していきます。
そしてエストロゲンさんとプロゲステロンさんの共同作業によってフカフカに作られた子宮内膜という名の部屋へと入っていきます。
これが、「着床」と呼ばれる現象で、着床が起きれば妊娠したと捉えてOKなようです。
数々のドラマと、沢山のホルモンさんの支えがあって妊娠するんだねぇ
おかあちゃぁぁぁん!
妊娠する為の適切なタイミング
これでざっくりとは妊娠の仕組みがわかったかと思います。
これらを踏まえて、では一体どのタイミングでの性交が妊娠確率を上げられるのか?
また、より確率を上げる為にはどうしたらよいのか? 考えてみます。
精子の寿命、卵子の寿命から逆算して考える
先に書いた通り、精子も卵子も寿命があります。
注目してほしいのが、卵子は1日の寿命であるのに対し、精子は3日ある、ということ。
さらに、男性は女性に比べて射精はある程度コントロールできますし、頻度も多く出せます。
その為、排卵日前から精子スタンバイ作戦が最も妊娠確率を上げることができるとされています。
女性に排卵が起こってから性交すると、卵子の寿命に間に合わない可能性も出て来てしまいますからね。
聞いたことがあるかも知れませんが、最も妊娠しやすいのは排卵日前3日と排卵日後1日、とよく言います。
まさにこれは精子と卵子の寿命から導き出された数字であることがわかります。
さてここで非常に重要になってくるのが、
排卵日をある程度予測できるかどうか
です。
排卵日の目星がつけられなければ、精子を排卵日前に送り込むことも難しいですし、そもそも排卵日もピッタリ正確に予測することは難しいです。
ですから、これはもう絶対やった方が良いこととして、妊娠したいのであれば基礎体温は必ず計測して書き記すようにしましょう。
排卵日を把握すること、イコール生理周期を把握することです。
排卵が起こる当日、または数日前から、プロゲステロンの分泌が増えることで基礎体温が上がってきます。
しかし上がり始めてからではもう排卵が起こった後である可能性もあるので、基礎体温を最低でも三か月間はつけて、排卵が起こるであろう日をある程度予測する必要があるのです。
妊娠、簡単じゃないですねほんと。
年齢でも妊娠確率は変わる
女性は、一般的に言われる妊娠に適した年齢が34歳頃までであるとされています。
もちろん沢山の女性がそれ以上の年齢でも妊娠・出産しているわけですが、平均値を見る限りでは確かに妊娠確率というのは年齢と共に下がっていくのです。
前述の、排卵日前の性交による妊娠確率で見てみると、
10代後半から20代中ごろまでの年齢で50%
20代後半から30代中ごろまでの年齢で40%
30代後半から40代前半までの年齢で30%
と、次第に下がっていきます。
また、男性も年齢を重ねるごとに妊娠させる能力が低下していきますので、他人事だと思っていてはいけません。
50代、60代での出産例もあるけど、それは本当に例外と思っておいた方がいいのかもね
無理ではないけれどリスクも上がるだろうしね
妊娠確率を上げる為のシンプルな方法
妊娠しやすいタイミングというのはわかりました。
では、より妊娠確率を上げるにはどうすればよいのでしょうか?
答えは非常に簡単です。
もっとセックスしましょう。
おいいきなり投げやりになんじゃねぇよ、と思うかも知れませんが、これに勝る方法は無いのです。
これは冗談ではなく、やはり自然なセックスの回数が多ければ多いほど妊娠確率も上がるのだそう。
それもそのはず、極端に言えば、三日おきに絶えずセックスをしている夫婦がいたとします。
精子の寿命は3日間ですから、常に精子がスタンバイしている状態になるわけで、いつ排卵が起きてもすぐに精子と出会える理屈ですね。
共働きも増え、セックスの回数自体が大幅に減っていると言われる昨今、簡単な事ではないと僕なんかもすごくしみじみと思うのですが、妊娠する為の事と考えるととても自然で納得のいく方法なわけです。
もっとセックスしましょう。
したくってもお互いが乗り気にならないとなかなか……ねぇ?
ゲッコちゃんらしくもない生々しい言葉だね。僕はいつだっていいんだよ?
いやオメェとは夫婦でもなんでもねぇし
まとめ
当ブログでも色々と書いてきた生理の話ですが、妊娠する為、という視点で見るとまた違う風に見えてくるものです。
ほんの少しでも、妊娠をする為の知識として男性の方々も覚えておくときっといつか役に立つものと思います。
また、妊娠できずに苦しんでいる方もいるかと思います。
妊娠・出産は非常にデリケートな問題でもあります。
僕の弟も奥さんが不妊治療を受け、苦労の末に出産しました。
「自分の嫁さんは平気って思うじゃん? でもマジで一度真剣に考えといた方がいいよ。検査してみるなりしてさ。想像以上にキツイしツライから。あと原因は女の人にだけあるわけじゃないしね」
と、僕に言ってくれたのですが、その時の弟の疲れ切った顔は今でも忘れられません。
恥ずかしがらずに、なかなか妊娠しない場合は医師に相談。
そうでなくても、一度は夫婦で真剣に話し合い、妊娠できるかどうかの検査も受けてみると良いと思います。
以上、ここまでお読み頂きありがとうございました。