
ピルという薬の名前、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
男性にとっては、どうしても「避妊薬」のイメージしかなく、それが一体何に使われて、どういう効果があるものなのか、ほとんど知らない方も多いかと思います。
また、女性の中にもピルへのイメージが良くない方は多くいると思います。
僕自身、ピルにどういう効果があるのかなんて全く知りませんでしたし、興味もありませんでした。
勝手なイメージで、
副作用とかすごくありそうな、ヤンチャな女の子が使う薬
と、漠然と考えていました。
しかしそれは間違った認識。
というか悪いイメージが先行していただけだったようです。
ただ、日本では諸外国に比べ圧倒的に普及していません。その為に普及している国との事情も異なっています。
ただとにかく、悪いイメージだけを持ってピルを断じるのは間違っていることを知っていただければと思います。
ピルかぁ。うん、よくわかんないや
私は飲んだことはあるけど、ずっと使い続けるようにはならなかったな。周りの子もそんな感じ
それはどうして? イメージが悪いから?
そうじゃなくて、お金もあんまり持ってない時だったから、婦人科通うの面倒になったのと、高ぇなあ、と思って
目次
ピルとはなんなのか?
・ピルの効果
ピルとは、経口避妊薬が正式名称で、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンを含んだホルモン剤です。
そのホルモン含有量に応じて、
・超低用量
・低用量
・中用量
・高用量
にわけられます。
一昔前は中用量が主流だったのですが、開発も進み、今では低用量が主流になっています(一般的にピルと言った場合はこの低用量を指すことが多い)。
主な身体への作用は、男でもわかる生理の仕組みでも説明した、生理のサイクルの中での黄体期のような状態へとピルの力でホルモンバランスを移行させる(よく、妊娠した状態に近い状態にする、という誤解があるようですが、正しくは黄体期に近い状態になることだそうです)ことで、避妊効果を得ることができます。
ではなぜ妊娠しないようになるか? というと、ピルに含まれているエストロゲンとプロゲステロンによりホルモンバランスが黄体期に近づくことで、
・排卵しなくなる(受精する為の卵子がそもそも出なくなるので、妊娠しない道理)
・子宮内膜が精子を着床させにくくなる(精子が子宮内膜に着床できなければ妊娠はしない)
・子宮頚管粘液が粘り気を持ち、子宮内膜へと到達しようとする精子を邪魔する(当然、妨害された精子は奥までたどり着けない)
という三つの変化が起きます。この三段構えによって、ピル服用中の妊娠率は1%以下に。99%妊娠しないというわけです。
ただし、正しい服用をしていなければ当然効果に差が出てしまいます。
生理初日に飲むか、2日目以降に飲むかでも効果が変わってくるんだよ。そこのコントロールはちゃんと知識ないと難しくなっちゃうからね
また、とても大事な事ですが、性行為をする際に、正しくピルを服用していれば99%避妊はできますが、性病を防ぐ効果はピルにはありません。
ですから、ピルを服用していてもコンドームを使用する必要は当然あります。
チェッ、とか思った男性がいたら、たぶんちょっと女性をナメ過ぎている可能性が高いので、パートナーのビンタを処方してもらってください。
ビンタくださぁぁぁい
・ピルはまだ歴史が浅い
ピルの歴史は、まだ短いと言わざるを得ないでしょう。
ピルが誕生したのは1960年代のアメリカ。女性が妊娠・中絶の悪夢から解放され、自由になるべく活動していたマーガレット・サンガーという女性の助言と、グレゴリー・ビンカス博士の「妊娠中は排卵が起こらない」という気付きを元に最初のピルは誕生しました。数多くの女性の助言を得て完成したとのことですが、最終的に作った博士が男性であることは驚きです。
当初は吐き気や乳房の張りなど副作用もひどく、なかなか普及しなかったようですが、ホルモン量を調整した物が作られたりと改良されていき、今に至ります。
当然今現在も研究が続けられています。
そして、世界では1億人以上の女性がピルを服用しているのです。
国によって普及率は全然バラバラなのですが、フランス、イギリスなどでは30%近い普及率で、先進国の多くの国ではドラッグストアでも買えるそうです。
日本では普及率約3%。
何かしら見えない巨大なカベがあるのは明白ですね。
ドラッグストアで買える国でも、最初は病院での診断が必要だったりもするよ。とはいえ日本より敷居がぐっと低いのだけは間違いない
良い事なのかどうかは僕にはわかんないけどなぁ
では、日本にはいつピルは伝わったか? というと、1950年代。当初は副作用の強い高用量ピルばかりでしたが、次第に副作用の少ない低用量ピルが増え始め、国に認めてもらうために申請されたのが1990年。しかし、低用量ピルが国に初めて認可されたのが1999年。
そう、日本には伝わってから間もないんです。
じゃあそれが日本で普及しない理由か?
というと、確かに使用者自体が少ないのは理由の一つかも知れませんが、他には保険適用のものであっても値段が高い、そもそも詳しい専門家が少ない、先行してしまった悪いイメージ、様々な思惑を持つ大人の事情など、 様々な要素がその普及率上昇を妨げている ようです。
メリットデメリットは後述しますので、冷静な目で見て欲しいと思います。
あとはどうしても無視できない、国民性というか、お国柄、というものもあると僕は思います。
なんとなぁく日本って性に対して閉鎖的というか、むっつりスケベなんていうよくわからない言葉もあるような変な国だよね
まぁそれ以上に悪だくみした大人の事情の部分が大きいんじゃないんですかねぇゲシシシシ
ちなみに、それまで国連加盟国でピルを認めていない国は日本だけだったってよ
ゴーイングマイウェイして突っ走って気付けば大空回りするのは日本のお家芸だからね
ピルはどこで買えるの?
基本的には、ちゃんと病院で診察を受けた後、処方してもらうことになります。
病院を介さず個人で購入することもできますが、当然保険も適用されない為高くついてしまったり、副作用が強かったりする場合もあるようなのでやはり病院で処方してもらうほうが安全です。
現在日本では、ピルを避妊薬として服用するよりも、生理痛軽減に服用するケースの方が多いのだそう。
そもそも僕みたいな男は、避妊効果以外の部分を全く知らなかったわけで、女性が生理痛やPMSなどから解放される為にも飲んでいるという事実は知ることができてよかったと思います。
「私、ピル飲んでるんだ」
「へぇ~(うわぁ、そうとうヤリまくってんだなぁこの子)」
なんていう思い込みは当記事を読んだのであればすぐに止めるべき偏見でしょう。
ピルを使うことのメリット
では、ピルにはどんなメリットがあるのでしょうか?
・避妊効果
先に書いたように、ホルモンの効能で黄体期に似た状態になり、高い避妊効果を得られます。
因みにですが、コンドームは避妊率が80%。案外ザルです。それに対してピルは99%の避妊率。ピルの方が安心ですね(何度も書きますが、性病予防にはなりませんのでコンドームとの併用がベスト)。
・肌荒れが少なくなる
生理前には黄体ホルモンの分泌量増加に伴い、肌が荒れやすくなります。
それをピルの効果で安定した量を保つ為、肌荒れしにくくなります。
ただ、個人差がかなりあるので期待し過ぎはダメ。
・病気の予防になる
ピルは卵巣を休眠状態へとさせます。この部分は大事で、ピルを服用することで強引に子宮を変化させているようなイメージを持ちがちですが、緩やかにホルモンバランスを移行させることで、むしろ負担を減らしてお休みさせている、というのが正しいイメージ。
その為無駄に疲弊させることがなくなり、特に子宮内膜症の予防、また治療にも効果があります。
・生理日を自由にコントロールできる
これをマスターするにはしっかりと調べて、タイミングも合わせて行う必要がありますが、楽しみにしていた旅行や全力で臨みたいデートなどに生理がぶつからないよう、コントロールできます。
ただ、僕が調べた範囲では結構難しそうですし、生理がそもそも来ない以上体験もできない為これ以上は女性自身が調べて行うことに委ねます。
友達も、簡単だよーって言ってる子いたわ。どうしてもズラしたい時、あるからね。男にはわかんねぇさ
・PMS、生理痛の軽減
ピルによってホルモン量が一定の割合で保たれる為、女性ホルモンの急な増減による体調不良などが軽減されます。
生理前が重かった女性はこれが一番ありがたい効果なのかも知れません。
ピルを服用する前は大海原の荒波のように上下していたホルモンバランスが、ピルによって静かな入り江のさざなみのように低く抑えられる為、様々な不調も軽減されるわけです。
ピルを使うことのデメリット
・使い始めの不快感
現在は低用量が主流な為に比較的少ない、との意見もありますが、やはり吐き気や乳房の張りなどを感じる女性はいます。
また、むくみやすくなるという事も妻の友人がしきりに言っていたそうです。
・血栓症のリスク
おそらくピルを服用する上で最大のデメリットが、この血栓症リスク。
デメリットと言ってしまうことが良くないことなのかも知れませんが、血栓症リスクはピルを使用していない人に比べて4倍ほど上がると言われています。
特に喫煙者であると、血栓症リスクが上がってしまうため、基本的に35歳以上で喫煙者の女性はピルを処方してもらえません。
ただ、ピルを使用していない方での血栓症発症確率が0.01%ほど。
ピルを使用していても、血栓症になる可能性というのは稀、という見方もできます。
ピルを服用している場合、血栓症は特に足にできやすいので、片足だけむくむような症状が出た場合、血栓症の疑いがあるのですぐにピルを処方してもらった病院へ行きましょう。
そもそも血栓症の診断自体が、ピルでも飲んでいない限り普通は受けないじゃん? ただ単に発見されやすくなってるだけだよ、って、ピル飲んでる子が言ってた
まとめ
このピル記事に関しては、投稿すべきか否か、非常に迷いました。
やはり男である僕が書けることにはどうしても限界があり、実際に試してみることができない為に、核心を突けないのではないか? との思いがあった為です。
更には、ピルの世界は僕が想像した以上に深すぎました。
多くの女性の苦悩と願望が渦巻く世界。男が触れて良いものなのかどうかもわからない程に複雑な種類、用法。
それでもやはり最後まで書いたのは、僕を含む男性の多くは、きっとピルの事を知らなすぎると思ったからです。(超ピルに詳しい男性がこれ読んでたらすみません)
さらには、きっとピルへの偏見をなくすべきなのは、僕ぐらいの、周りに結婚や出産を経験した夫婦が多くいる年代ではなく、もっと若い年代の男性達なのではないか、と思ったからです。
セックスは当然悪いものではありません。
だからこそ、様々な出会いのある若い年代の方が、1つの避妊の方法としてピルを知っておくべきで、コンドーム無敵神話は危険であることも知っておくべきだと思います。
経口避妊薬としての優れたホルモン剤であるピル。
生理痛、PMSを緩和し、安定させることのできるピル。
高用量しかなかった時代に比べ、低用量が主流となり、副作用も大きく抑えられるように進化したピル。
この記事で、少しでもピルへの偏ったイメージを、ピルをほとんど知らなかった方の中で変えられれば、意味はあったかな、と思う次第です。また、更に細かく詳しくしっかりピルを知りたいと思った男性の方は、ピルとのつきあい方を読んでみて下さい。
恐らくネット上で調べられる限り最強のピル知識を得られるサイトです。